いつの時代でも繰り返される「最近の若者は…」という類の枕詞。
最古の「最近の若者は」というセリフは、プラトンが口にしたとかしないとか。(ソースは不明です、あしからず)
プラトンのセリフの意図は分かりませんが、我が国日本でおっさんらがよく口にする理由は、「最近の若者」を下げて「昔の俺ら」を自慢したいだけなのかな、と思ったりします。
私自身は自分の過去を自慢したいとは思いませんけど、でも「さすがにこんなんじゃなかった」という場面に出会うと言いたくなる。
「最近の若者は」
私は普段、大学で学生のキャリア支援をしているんだけど、キャリアの相談ってイコール人生相談みたいなもんで、身の上話を数々聞くんだよね。
毎日毎日たくさんの大学生の相談に乗っていると、正直言いたくなる。
「最近の若者は」
ちまたでもよく言われますけど、最近の若者って本当に「失敗を恐れる」傾向がある気がします。
それもけっこうな割合で。
もちろんそうじゃない学生もたくさんいるんだけど、でも何人も何人も「失敗を恐れる」学生に出会うので、いつの間にかそれがマジョリティになって「最近の若い子って、失敗するのを避けるよねぇ」になるんだよね。
「失敗を恐れる」理由としては、プライドが高いとか傷付きたくないとか、怒られることを避けたいとかいろいろあると予想されます。
言い換えると、「失敗し慣れていない」子が多い気がするんです。
失敗をあまりしてこなかった
↓
失敗するとどうなるのか分からないので怖い
↓
だから失敗したくない
↓
行動しない、もしくは、正解を教えて欲しがる
っていう方程式になるのかなと。
これってもう、幼少期からの体験によるところが大きいと思うのよね。
小さいころからの失敗の経験と、それをどう乗り越えたか。
これは就職面接では鉄板の質問です、「挫折体験とその乗り越え方」。
最近は就活ビジネスが活発で、自己分析の手法などこの手の対策は多様にあるし、お決まりの質問回答例なんか数多あって、先の「失敗を恐れて、失敗してこなかった学生」だってみんなお手の物で答えられるんですけれど。
でも、うわべで答えられるかどうかじゃないんだよね、大事なとこは。
繰り返しになりますが、幼少期から失敗を体験するべきだと思うんです。
「挫折体験とその乗り越え方」について、実体験を重ねていない若者が多すぎる。
自己分析やキャリアカウンセリングをやっていると、必ずといっていいほど出てくる言葉に「自己肯定感」ってのがあります。
このテーマだけで本が一冊出せるくらいの内容なので今回は深入りしませんが、自己肯定感ってつまり、言葉の通りで「自己を肯定している感覚、感情」のこと。
自己肯定というのは「自分のあり方を自分自身で認めること」、「自分の価値や存在意義を肯定すること」であって、ありのままのすべてを受け入れる、とか、自己中心的に自分を正当化することとは少し違います。
まあ詳しくはまた別の機会にするとして、簡単そうに聞こえるけど、これって実体験を繰り返さないと身につかないんです。
失敗は悪いことじゃない。
失敗して傷ついた自分も、失敗して怒られた自分も、「自分」なんです。
それを「認める」ことの繰り返しが、自己肯定感につながります。
子供が失敗したり傷ついたりすると心配なのはよーく分かります。
かわいそう、代わってあげたいってわたしも思う。
でも、目先の「かわいそう」「助けてあげたい」を優先して、失敗しないよう先回りしてしまったり、過保護にしすぎると、「失敗して〇〇な自分」を知って認めてあげるチャンスを失って、結局かわいそうなのは子供なのよね。
「行動しない」「失敗しない」人生なんてあり得なくて、学生のうちはまだなんとかごまかせても、社会人になったら行動しないわけにいかないし、誰も答えなんて教えてくれない。
そして失敗して、乗り越え方が分からなかったり、そんな自分を否定したり、なかったことにして逃げたりしちゃうのよ。
余談だけど、最近の大学ってびっくりするくらい色々なお世話をしてくれるんです。
今のパパママ世代は驚くと思うけど、大学で「友達の作り方」から「恋愛学」まで教えてくれるんですよ!
それも、国立大や早慶大レベルで。
驚きでしょ。
そんなことを学ばなくても良いように、幼い頃から失敗を恐れずたくさんの経験をさせて、自己肯定感を高められるような関わりをして、「最近の若者は、しっかりしているね」って言われるような成長をさせたいなぁ。
自己肯定感を高める関わり方については、またいずれ。
2014年6月30日
二子玉川在住の某大学キャリアカウンセラー(JCDA認定CDA)。あらゆる世代の女性の就労支援がテーマ。二子玉川育ちの家事上手なオットとマイペースで自由人なムスコと3人で二子玉川ライフを満喫中。