(文:Mさん)
散々行きたいー行きたいー!と大騒ぎして、ついに「ビフォア・ミッドナイト」見てきました。
2時間かけて夫の実家に行き「すいません、すいません!」と娘を預かってもらい、(まさか、映画が見たいなんて理由とても言えない…とモジモジしましたが、すいません…どーしても見たいんです、と結局白状しちゃいました)
義父母もいいよーゆっくりご飯でも食べてらっしゃいね、と送り出して下さり、いざ映画館へ!
気合い入れすぎて上映時間の2時間前に着いてしまいました…。
チケットも売り切れてなくて一安心(映画の日に行くという私たち夫婦の堅実さ!)。
ジェシーとセリーヌの運命的な出会いの1日を描いた1作目の「ビフォア・サンライズ」から18年、やっと結ばれて家族となった2人の姿が見れるのね…と、チケットもぎられた瞬間からもう泣きそうです。
さて、ここからは内容に少し触れています。
この映画に関してはネタバレも何もありませんが、何一つ情報を入れたくない方はスルーよろしくです!
9年前再会を果たしたジェシーとセリーヌ。
そして現在…2人の間には双子の姉妹も産まれています。
ジェシーはセリーヌとの恋愛を小説化し、著名な作家になりましたが、前妻との間の息子と離れて暮らし、父親の責任を全う出来なかった事にいつも葛藤を抱えています。
(息子の方は全く気にしておらずむしろドライ)
セリーヌは相変わらず環境問題に取り組むキャリアウーマンですが、仕事がうまく行かず転職に悩んでいます。
そんな二人と娘達は夏の休暇に招待を受け、美しい街ギリシャに旅行に来ています。
海沿いの別荘で過ごす家族でしたが、子供を預かるのでたまには2人で夫婦の夜を楽しんで、とジェシーとセリーヌ夫妻に高級ホテルの予約のプレゼントが。
久しぶりに二人きりに過ごす時間、そうしていつかのように語らい合う夜が始まるのです。
結論から申し上げると、素晴らしかったです…いますぐもう1度見に行きたいくらい!
今年NO.1です、ビフォア・ミッドナイト、まだ今年始まったばかりですが!
でねでね、なにが素晴らしいって、うっとりしたラブストーリーだったビフォアシリーズですが、今作は結ばれた二人の、その後の現実を見事に描いてるのです。
恋に落ちた時、その時ってもうお互いしかいない関係ですよね、男と女二人っきり。
でも、結婚したり子供が産まれると違う、否応が無しに相手の周りの問題も人間関係も共有しなきゃいけないんです。
そうして、問題も複雑になって行くし,相手の対応に幻滅したりする。
愛し合った二人にも倦怠期の影が忍び寄り、いつのまにかお互い不機嫌になり、ロマンチックな愛をささやいて、優しい眼差しを向けてくれた彼はヒステリックに正論をかざす妻をうんざりした顔で見るのですよ…。
そして、またしても語彙に溢れる賢い二人が、脳みそフル回転でしゃべるしゃべる!
相手の問題が自分の問題か、というと、それはまた違う。
結婚したからってすぐに家族になる訳でもないし(彼らは事実婚ですが)、家族で全て分かち合う事なども出来ない。
価値観や思いが全て一緒なわけないんです、別々の人間なのですから。
この映画の良い所は、夫婦一体の人生ではなく、個々の人生がちゃんと描かれているんですよね。
セリーヌが「まだ出産から立ち直れてないの!」「母親は子供に罪悪感を持つものなの!」みたいなことを言うんですよ…。
もう私、涙腺崩壊…。
わかる…、本当にわかる…。
出産でいきなり子供が目の前に現れて、自分の無力さに唖然とするんですよね。
子供には笑っていてほしいのに、子供の泣く理由さえわからないんです。
夜泣きで泣き止まない双子を真夜中カートに乗せ、パリを歩いて途方に暮れていたとき、ジェシーは出張でおらず、セリーヌは一人でその辛さを抱えてたんですよね。
うわーん!ジェシーめー!!フォローしてあげてよ!!!
しかし、私が今回1番号泣したシーンは、二人の言葉ではなく、冒頭、夫を亡くした老婦人の話でした。
「夫を忘れないように、彼の目、睫毛、肌質、髪の毛、全てをじっくり思い出すの。だけど、それもだんだん思い出せなくなり、そのとき、もう一度夫を亡くしたようで辛い。夫と寝ている時に彼が抱きしめてくれて、息苦しかったけど、とても満たされていた」
このような話を皆に訥々と話すのですが…もうウェウェって嗚咽してしまいました。
今の私にとって離婚や大喧嘩は現実的じゃないけど、死別は一緒にいると絶対にいつか訪れる事だから。
と、ここまで書きましたが、もう止めておきます…。
これの10倍は語りたいのですが、見てほしいです!
そして、ビフォア・ミッドナイトをご覧になったあなたと語り合いたい!
夫婦のたまのデートムービーにもおすすめです。
言葉が刺さる刺さる!でも心地よい刺激です。
ラストシーンの二人のユーモアは日本人の私たちには中々出来ないかもしれませんが…、一生愛し合うと決めて一緒にいる、という気持ちを忘れないようにしたいものです。
全ては「当たり前」ではないのですから。
2014年2月10日
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